チケットのことならチケットぴあチケットぴあ

こんにちは、ゲストさん。会員登録はこちら

@ぴあインタビュー

『罠』加藤和樹

『罠』加藤和樹
行方不明になった妻が戻ると、それはまったくの別人で……。ひと癖もふた癖もある登場人物たちの間に、張り巡らされたさまざまな“罠”。観客はその一部始終を覗き見、そしてその結末に大いに驚愕する。そんな極上のサスペンス劇『罠』が、加藤和樹主演で再び上演される。今回は、演出・キャストを一新してのリニューアル上演となった。騙し合いの螺旋の中、加藤が新たに導き出す主役・ダニエル像、そして『罠』の世界観とは?

──再び『罠』に挑みますが、初主演舞台となった去年の出来栄えは?



「自分としては、まだまだ出来たんじゃないかって想いがありますね。ダニエルって人物の、もっと深いところまで落とし込めたんじゃないかなと。だから今回またこの作品をやれることは、本当に嬉しいですね」



──本作の魅力をどんな点に感じますか?



「人間の怖さですよね。表と裏があったり、平気で嘘をついたり。やっぱり嘘をつく動物って、人間だけじゃないですか。それがこの作品に、スリルやサスペンス、緊張感というものを生み出している。そういう空気感が、この作品の大きな魅力だと思います」



──そんな作品に取り組むことは、演じる側にとっても負担が大きいのでは?



「そうですね。自分の一挙手一投足がお客さんを緊張させることにもなりますし、また緊張をほぐすことにもなる。そういった意味では、本当に頭の先から足の先まで、一つ一つの動きに気を遣いますから。すごく追い詰められますし、前回はかなり痩せてしまって。まぁ痩せたというか、やつれたかな(笑)」



──そのダニエル役に、再び挑むことになります。



「でもこの役に関しては、追い詰められることが役作りにもなりますからね。それに僕、“追い詰められる”ことってすごく大事だと思うんですよ。“追い込まれる”だとマイナスなイメージがあるけど、追い詰められるっていうのは、自分自身に十字架を背負わせること。それによって、さらに前に進める気がするんです」



──今回は加藤さん以外のキャストが一新。また映画監督の深作健太さんが、初の舞台演出を手がけられます。



「キャストの年齢層が上がっているので、より大人な、よりクールな作品になると思いますね。演出も深作さんに変わることで、カラー的によりダークになるというか。僕のアプローチの仕方にしても、相手が変われば、必然的に違ったものになるでしょうしね。今回はそこで生まれる感情に素直に、また新たなダニエル像を作っていけたらと思います」



──非常にネタばれが多い作品ではありますが、最後に本作をより楽しむポイントを教えてください。



「本当にいろんな見方が出来る作品だと思います。登場人物の誰目線で見るかによっても楽しみ方も変わりますし、そこからまた全体を見ることで、また新たな面白さが出てくる。だから1回目は、『うわっ、騙された!』と思ってモヤモヤして(笑)、2回目でスッキリして帰ってもらいたいなと思いますね」



取材・文:野上瑠美子  撮影:星野洋介



▼『罠』
5月15日(土) ~ 23日(日) 天王洲 銀河劇場 (東京)
5月25日(火) 新潟市民芸術文化会館 劇場 (新潟)
5月26日(水)・27日(木) 名古屋市青少年文化センター アートピアホール (愛知)
5月29日(土)・30日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール (兵庫)
6月1日(火) ホクト文化ホール 中ホール (長野)
6月10日(木) 電力ホール(宮城)

[劇作・脚本]ロベール・トマ [演出]深作健太
[出演]加藤和樹/辺見えみり/上山竜司/松田賢二/初風緑/岡田浩暉