——カルビーの企業理念を教えてください。
「“自然の恵みを大切に活かし、おいしさと楽しさを創造して、人々の健やかなくらしに貢献する”を、企業理念として、創業以来、自然と健康をテーマに数々のスナックを作り続け、スナック菓子文化を築いてまいりました。皆さんは、“カルビー”という社名の由来をご存じですか。カルシウムの「カル」とビタミンB1の「ビー」を組み合わせた造語なんです。戦後、日本人に最も不足していたカルシウムとビタミンB1という栄養素を取り入れ、おいしくて、体にいい健康的なお菓子を作っていきたいと、創業者である松尾孝が名付けましたが、それが今も私どもの思いとなっています。」
——スポーツを支援されるようになったのは?
「自然=健康=スポーツと考え、スポーツ活動を支援させていただくことにより、私どもの企業・商品のイメージアップにつなげたいというのが始まりです。」
——なぜサッカー、Jリーグを選ばれたのですか。
「日本サッカーリーグの時代から試合会場に看板を出してきましたので、比較的Jリーグに入りやすかった、サポートしやすかったわけですね。もともと弊社は発祥の地が野球と並んでサッカーが盛んな広島だったということも背景としてあると思います。また、サッカーが私どものメインターゲットである10代から30代という年齢層と合致していること。競技人口も多く、グローバルなスポーツであるという点も大きいでしょう。」
——Jリーグをスポンサードされるようになったきっかけは?
「Jリーグの基本理念に共感し、発足当初からスポンサードさせていただいております。Jリーグのように、ビジョンをしっかりとここまで打ち出しているスポーツは日本にありませんでしたよね。革新的な活動、まさにスポーツ文化の創造だと思いました。」
——1993年のJリーグ誕生から今日まで一貫して、支援されていますが。
「Jリーグは1993年から数年はブームとして盛り上がりましたが、その後低迷した時代もあり、宣伝という面での、費用対効果からか、その時期に離れていった企業も少なくなかったと思います。私どもとしては小さな力ですが、川淵三郎キャプテン(元チェアマン)が掲げた基本理念や精神に共感・共鳴し、ずっと応援していこうと今日まで続けさせていただいております。」
——Jリーグを支援されるようになって得たことは?
「社内的には、社員の志気が高まり、Jリーグという大きなスポーツ活動を支援する企業として誇りを持てるようになりました。同時に外部に対しては、企業イメージが向上したと思います。また、サッカーがメジャー化し、Jリーグが発展するにつれて、女性やお年寄りのサポーターも増えてきましたが、それにともない私どものターゲット層以外にも企業・商品の認知度が高まったと思います。」
——Jリーグに対してされてきたこと、ともにしてきたことを教えてください。
「メーカーにとって、お客様との接点は商品です。私どもでは、“Jリーグチップス”“サッカー日本代表チームチップス”を発売させていただくことによって、お客様とのコミュニケーションをより活発に図りたいと考えました。おかげさまで、両商品ともご好評をいただいております。」
——そのほかには?
「今年は広島でのサンフレッチェ広島vs浦和レッズ戦のほか、埼玉、東京、大阪、千葉、神奈川、静岡で行われたダービーマッチでJリーグ選手カードを来場者に配付させていただきました。」
——観客は大喜びですね。
「その日だけのオリジナルカードですから、試合を観にいらしたお客様だけが手にでき、非常に喜ばれました。もともとは、子供が大好きな創業者が、子供たちが喜ぶことが何よりと、小袋のおまけつき商品を開発しました。日頃の感謝の気持ちをサービスしたいということで、今まで仮面ライダー、プロ野球、ドラえもんなどのキャラクターカードつきのスナックを出してきましたが、それが今日の企業文化の一つになっていると思います。Jリーグカードもさらに魅力的なカードにするために毎年改良をしています。」
——今後、Jリーグとともに活動していきたいことがあれば。
「CSR(企業の社会的責任)の一環として、“カルビー・スナックスクール”を開催しています。これは、私どもの社員が各地の小学校へ出向き、食育についての啓発活動をさせていただいております。スナック菓子といえば、とかくマイナスイメージが先行しがちですが、スナック菓子そのものが悪いわけではなく、正しい食べ方をしていないのが問題なんです。そこで、スナック菓子に含まれる栄養素、摂取適量などについて正しい知識を説明しています。さらに、学校の先生、栄養士、保護者の方々に工場を見学していただいたり、食生活の問題点を知っていただこうとシンポジウムなども行っています。 こうした活動は、東京近辺を中心に2003年からスタートしましたが、今では全国に拡大しつつあります。そうなれば、Jリーグの地域に根ざすという基本理念とも接点を持つので、サッカースクールやキッズキャラバンと共同で全国展開していければいいですよね。健全なる子供の育成には、正しく食べることは欠かせません。スポーツと食、両方の面でJリーグと価値創造が共有できれば、本当に素敵なことではないでしょうか。」
——最後に、Jリーグ、日本のサッカー界に向けてメッセージ、エールをお願いします。
「来年はいよいよワールドカップですが、Jリーグなくして今日の日本のサッカー界の繁栄はなかったと思います。今後さらに飛躍するために、サポーターの皆さんも厳しい目で見守ってください。選手がいいプレイをしたら大きな拍手を送り、悪いプレイが出たら愛情を持ってブーイングしていただく。選手の皆さんも、いい意味でのプレッシャーを乗り越え強くなって欲しいのです。そうした選手とサポーターのいい関係が築ければ、Jリーグ、日本のサッカーはますます発展すると思います。」
取材・構成/宮崎俊哉(CREW) 撮影/新関雅士 |