――スポーツ支援を中心に、御社の企業理念からお話しいただけますか? 「私どもは半導体製造装置のリーディングカンパニーとして、幅広い製品分野の開発・製造・販売を行っています。また、最近はその技術を応用した液晶ディスプレイの製造装置、あるいは太陽電池の製造装置の分野も手掛けています。会社の理念はコーポレートメッセージとして"People.Technology.Commitment."を掲げ、エレクトロニクス時代を根底から支え、皆様の豊かな未来の実現に向けて取り組むことをお約束しています。」 ――具体的に教えていただくと。 「私たちは『ひと』を大切にし、『ひと』に喜ばれる価値を提供します。常に最高水準の技術を目指します。また成功に向けて責任ある対応をお約束します。半導体産業という最先端の開発競争が激しい業界でお客様に継続的に成功を収めていただくために私たちは全力でサポートしていきます。ということです。 ――サッカーという競技に対しては、どのようなイメージをお持ちですか? 「山梨に工場や事業所があるご縁で、2006年からヴァンフォーレ甲府のユニフォームスポンサーをさせていただいております。サッカー、特にJリーグには、フェアプレー、若々しさ、清々しさを感じますね。Jリーグの地域密着という理念にも、共感しています。ヴァンフォーレとの関係から始まり、ご縁が広がって今回お声かけいただいたて、2011年からはJリーグも支援させていただくようになりました。」 ――ご自身がサッカーをされた経験などは? 「私は学生の頃、モータースポーツをやっていたので、サッカーとの関係はこの仕事についてからなのですが、観ているとどんどん好きになっていきますね。最近はよく観に行っています。主に家から近い味の素スタジアムへ行っています。」 ――「観だすとハマっていく」とみなさん、おっしゃいますね。 「たしかにおもしろいですね。野球と違って、ほとんどプレーが止まることがなく継続して試合が流れているので、観ていて途切れがないのがいいのかなと思います」 ――お仕事抜きでも、観にいかれているんですか? 「観戦はおもにプライベートで行っています」 ――日本のサッカーについてはいかがですか? 個性的な選手が次々と出てきて、ますますおもしろくなってきましたが。 「ここまでJリーグがみなさんに認知され、盛り上がってきているというのはスゴイですね。1993年のスタートからコツコツ積み上げてこられて。本当に地域に密着して活動されていますよね。選手がお子さんのサッカー教室をやったり、社会奉仕活動をしたり。そうした活動が根付いている。地域ごとに非常に支持されていて、本当に素晴らしいことだと思います。そうしたところに我々も共感し、ともにやっていこうと思っています」 ――地域密着。Jリーグの根本の理念と御社の理念が重なると。 「はい。我々は事業をグローバルに展開していますが、山梨のほか、岩手、仙台、熊本にも製造拠点や事業所を持って、地域に根を下ろした事業展開をしています。『地域を大事にしたい』という意味では、我々もJリーグに似た理念を持っていると思います。」 ――サッカーに関して、これまで御社がなさってきたことは? 「Jリーグからいただいているスポンサーメリットを活用して1年に4回、JリーグOB選手にご参加いただき『サイエンスサッカースクール』というイベントを開催しています。今年はすでに2回、5月と6月にそれぞれ仙台と川崎で開催しました。」 ――サイエンスサッカースクール? 「科学プログラムとサッカー教室を組み合わせた独自のイベントです。小学校4年生から6年生のお子さんに集まっていただいて開催します。前半の1時間を科学実験プログラム、後半の1時間はJリーグOB選手も交えて親子でのミニサッカーゲームで楽しんでいただいています。 ――現役みたいですね。 「まさに。そうですね」 ――参加は一般公募ですか? 「J's GOALというJリーグ公認サイト( http://www.jsgoal.jp/ )で公募しています。毎回本当に多数のご応募を頂いておりますがOB選手としっかり触れ合えるということを考えると、しばらくは50~60組の規模で開催していこうと思っています」 ――御社のお得意なところと子どもたちの興味がマッチして。 「サッカーを理論で解きながら、科学にも興味を持ってもらえる」 ――親御さんたちも大喜びですね。 「親御さんはOB選手の現役時代と時代が重なっているので。とくに喜んでくれているようです。」――サッカーができて、ちょっと勉強した気にもなれるというのがいいですね。 「そうなんです。私たちは技術の会社ですから、最近のお子さんの理科離れが言われている中、理科の面白さを伝えたいと考え、いろいろな機会を活かして、まずは理科好きのお子さんになってもらいたいと思っています。それが理科好きの学生になり、理科好きの社会人になってやがてものづくりの日本を支えてくれる礎となるお子さんが、我々の企画を通じて少しでも増えてくれたら、と願っています。」 ――サッカーを支援されるようになって、企業として得たことは? 「初めは私たちのような業種の会社がJリーグのオフィシャルスポンサーになれるのかと驚かれましたが、いまでは社員は喜んでくれています。Jリーグの試合に行くと広告看板やユニフォームの会社名が出ている。それを見て社員が誇りを感じるとか頑張ろうと思ってくれれば十分な効果があると思います。また当社に入社したいと考える学生が多くなるかもしれないということもあります。 ――今後何か、サッカーに関して企画されていることなどありましたら? 「今年からJリーグの『スポンサー』は『パートナー』という名称に移りましたが、我々は今年、『フェアプレーパートナー』という名前をいただいています。具体的にはレフェリーをサポートしようということです。レフェリーは試合中何もなくて当たり前、きれいに捌けて当たり前、失敗すると文句だけ受ける。なかなか辛い立場です。でも、上手いレフェリングがあってはじめて試合がスムーズに進んで、お客様が喜んで帰って、リピーターが増えるという構図だと思うんです。 ――野球で審判のマスクにテレビカメラをつけたりしていますけど、あれだけでも画期的で、いままでと観方がまた変わってきますからね。 「そう思います。レフェリーは選手と会話しながら試合を円滑に進めているそうです。白黒ハッキリさせるだけでなく、危ないプレーとか際どいプレーがあったら、選手に注意して、より大きな危険を事前に防いでいるのです。」 ――それで反則や危険を未然に防いで、試合をおもしろくしているんですね。 「そうです。両チームの選手たちと会話をして、上手く試合が流れるようにする。取り締りではなく、円滑に流していくのがレフェリーの仕事なので、イエローカードとかレッドカードを出すところよりも、試合を円滑に進行させるところを見て欲しいと。我々もレフェリーの仕事を正しく理解して、良いジャッジをしたら惜しみない拍手ができるようになると良いですね。」 ――試合をきちんとエンターテインメントとして成立させるための演出家。指揮者とか言われますからね。 「裏方ですけど、絶対に必要で重要。当社もいろいろな電子機器に使われている半導体をつくる機械をつくっています。まさに、『つくるをつくる』裏方なので、レフェリーには共感するものがあります」 ――サッカー界に望まれること、提言などございましたら。 「私たちの希望としては、Jリーグが盛り上がってくれることが嬉しいことです。ただ、我々の場合はJリーグのフェアプレーパートナーになったからいって売れるような製品をつくっているわけではありません。ですから、"文化として"Jリーグが盛り上がってくれるのが一番です。そのためには、やっぱりワールドカップでベスト4になったりとか。そうなれば、盛り上がるんじゃないかと思いますね」 ――みんながひとつになれますからね。 「国民が一丸になって応援するイベントって、なかなかないですからね。スゴイことだなと思います。2014年ブラジルワールドカップへ向けての予選でも一致団結して応援しています。ブラジル大会では前回順位よりももっと上に行ってくれたらいいですね」 ――最後に、日本のサッカー界、選手、サポーターへ熱きメッセージをお願いします。 「体を動かすことは素晴らしいこと。お子さんはぜひサッカーを楽しんでやってください。我々もサイエンスサッカースクールを小規模ながら定期的に開催してこうと思っています。そこにもぜひご参加いただいて、科学の楽しさも一緒に知ってもらい、頭も体も強い子になってくれるのが日本の将来のために一番いいんじゃないかなと思っています。 取材・文:宮崎俊哉(CREW) 設立:1963年 主な事業内容:半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置、および太陽電池製造装置のリーディングサプライヤーとして社会基盤の構築に貢献。 本社所在地:東京都港区赤坂5-3-1 赤坂Bizタワー <URL> http://www.tel.co.jp/ http://www.tel.co.jp/museum/welcome.html
親子で学ぶサイエンスサッカースクール
参加者募集!
この取材は2012年7月13日(金)に行われました
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