——GEの事業内容から教えていただけますか。
「エジソンのことは皆さんご存じと思いますが、GEが何をやっている会社なのかご存じない方のために、基本的なことからお話しさせていただきたいと思います。GEは、テクノロジー、メディア、金融サービスといった分野でイマジネーションをフルに使って、革新を求め、常に変革しながらお客様と共に成長していくグローバル企業、複合体企業です。もともとは発明家トーマス・エジソンが設立したエジソン・エレクトリック・ライト・カンパニーが始まりで、1892年トムソン・ヒューストン・カンパニーと合併。ゼネラル・エレクトリック・カンパニー(GE)が誕生しました」
——日本での事業がスタートしたのは?
「日本政府の印刷工場に発電機を納入した1886年ですので、100 年以上にわたり事業を展開しています。現在、40以上ものオペレーションが活動しており、総従業員数は8000名以上です」
——スポーツを支援する際のお考えを中心に、企業理念を教えてください。
「グローバルに活動していますので、事業を世界的に拡大していきたいというのと同時に、地域に根ざした社会貢献に寄与したいということが理念としてあり、その一環としてスポーツを支援しています。企業として特にボランティア活動を推進しており、2004年GEのボランティアが地域社会の奉仕活動に費やした時間は100 万時間以上。日本でも役職や年齢に関係なく、社員は年間9 時間のボランティア活動が奨励されています。地域への還元ということですが、ただ奉仕するととらえるのではなく、同時に自分たちも楽しんでいこうと考えています。そうした点が、スポーツを支援する上での大前提です」
——Jリーグをスポンサードするようになったきっかけは?
「私どもの場合、残念ながら消費者との関係が希薄でした。そこでもっと消費者から身近に感じていただけるように何かできないかと考えていたところ、タイミングよくJリーグのお話をいただき、まさに企業文化としてピッタリだということになりまして。それが2005年1 月のことでしたが、6 月30日からスポンサードさせていただいております。GEは今年からオリンピックのトップスポンサーとなりますが、そうした会社としての流れとも合致したということですね」
——なぜJリーグを選ばれたのですか。
「サッカーの持つ世界性はもとより、Jリーグの掲げる地域密着、地域に対する貢献、ボランティアの活性化という点に共感しました。トップチームだけでなく、さまざまなレベルで地域に根ざして活動するピラミッド型の各クラブの運営。サッカーだけでなく、青少年の育成、人間教育をも考えたシステムも素晴らしいですよね。企業としては広報、宣伝活動という点もありますが、スポンサーシップというのは販売促進だけでやることではないはずです。貢献活動というものが含まれてこないと、活動に広がりがなく、真に企業を理解してもらえないと思います。利益を追求する企業がどうして貢献活動しなければならないのかという疑問もあるかもしれませんが、それは相反するものではありません。GEでは製品・サービスを通じて環境改善に貢献することで、お客様とともに長期的に成長していくことを目指した「エコマジネーション」というイニシアチブを掲げています」
——Jリーグ関連で今年実施されたことはありますか。
「子供たちにチケットをプレゼントさせていただきました。それも、ただやみくもにバラまくのではなく、意義のあるやり方として。実際には、保育園や母子家庭のサークル、養護施設など全国20カ所の児童福祉施設に、1000枚ほどのチケットをお渡ししています。進め方としては、まずどうして企業がチケットをただで配るのか、私どもの社会貢献活動を理解していただくことからスタートします。わかっていただくためには、何度もやりとりをして。もともとGEには“地域に役立つ発明家になろう”というプロジェクトがあり、企業として各団体や施設とパイプがありましたので、それを利用しています」
——チケットをもらって、Jリーグを観戦した子供たちは大喜びでしょうね。
「子供たちには少しでも良い席で試合を見てもらうことで、できるだけいい感動を共有してもらいたい、いい夢を見てもらえるようにしています。余っているチケットをお配りしているわけではなく、観に行きたいという社員よりも優先してお渡ししているので、配付先や適正枚数というものを常に見直しながら、今後さらに広げていく予定です」
——Jリーグに希望、提案されることがありましたら。
「スタートしたばかりですが、末永く、ちょっと先を見ながら取り組んでいきたいと思いますが、チャリティー試合など開催できるとよいなと思います。スポンサードしている11社が力を合わせた形で」
——Jリーグとの理想的な関係は?
「Jリーグの試合を観に行くと、いつもサポーターの熱意を感じるとともに、本当にファンの方々を大事にされているなと感心します。今後はぜひともJリーグも我々もいっしょに盛り上がり、その結果として皆様にGEマネーに対して興味を持っていただければ幸いです。Jリーグ、GEマネー、お客様の三者間で長期的に信頼関係が築かれる。それこそが、お互いがウィン・ウィンの関係であり、理想的なパートナーシップではないでしょうか」
——最後にJリーグ、日本のサッカー界にメッセージをお願いします。
「今年はいよいよワールドカップが開催されます。我々もスポンサーとなって2年目となりますので、より充実した活動をしていきたいと思います。ワールドカップに出場する選手たちにはできるだけよい成績をあげていただき、日本に感動を届けて欲しいですね。子供たちのために、地域社会の活性化のために。選手たちのがんばり、Jリーグのがんばりが必ずや起爆剤となります。Jリーグが盛り上がり、ワールドカップが盛り上がり、サッカーが盛り上がり、そして地域が盛り上がれば、日本の景気回復がさらに加速されます。ぜひ、がんばってください。そして、力を合わせてがんばっていきましょう」
取材・構成/宮崎俊哉(CREW) 撮影/新関雅士 |