——トーマスの事業内容、企業理念を教えてください。
「まず、私どもの事業内容からお話しさせていただきますと、一斉授業ではなく、個別指導による教育を行っています。この方式なら、お稽古事や習い事、スポーツを続けながら勉強もできるんです。通常の塾ですと、カリキュラムが決まっていて、クラス単位で進んでいきますよね。お母様方は当然勉強が大事だということは分かっておられますが、子供たちとしてはスポーツや習い事もやっていきたい。トーマスは、“勉強とスポーツ、習い事が両立できるのは個別指導しかない”をコンセプトとし、そのためにさまざまなサービスを提供しています。
今の世の中、勉強だけして知識はあるが、心が育っておらず、きちんとした人間関係が築けない大人が大勢いますよね。そんなことで果たしていいのでしょうか。私どもは、知識教育だけでいいのだろうか、詰め込み教育だけでいいのだろうかと考えています。トーマスでは、ご家庭の教育方針で“こういった学校に行きたい”という意向に沿って、それに応えて全力でサポートする。それが、個別指導を行うトーマスの方針です。
私どもはいつも、優しさや思いやりを持った子供であって欲しい、人としてしっかりとした人間力のある人物に育ってもらいたいと考えています。また、世界に出て立派に活躍できる人間になって欲しいと願っています。そういった理念があって、個別指導という商品がある。人間力のある子供、国際舞台で活躍できる子供は、これまでの一斉授業では育てるのが難しい。それができるのは、トーマスが今行っている個別指導だけだと、私どもは確信しています。東京ヴェルディ1969からスポンサードのお話をいただいたとき、私どもならJリーガーに憧れ、Jリーガーになりたいと思っている子供たちのために、ヴェルディと一緒にサッカー教室ができると思いました。Jリーグが掲げる百年構想、ヴェルディの球団運営方針は、私どもの教育方針とも合致しますので、スポンサードさせていただくようになったというわけです」
——これまでになさってきた社会貢献活動は?
「“知・徳・体”三位一体となった教育の観点から、これまでも『トーマス・コンサート』と題したクラシックコンサートを毎年行ってまいりました。また、松山バレエ団の公演、ウィーン少年合唱団等をサポートさせていただくなど、文化・芸術面でもさまざまな活動を続けています。“知・徳・体”三位一体の教育は、集団教育、一斉教育では難しく、個別教育でこそ真の三位一体の教育ができるのだと思っています」
——ヴェルディとともにされてきたことは?
「2004年からヴェルディとお付き合いさせていただくようになり、スポーツ活動へのサポートを行っています。具体的には、年に2回「TOMAS DAY」としてヴェルディの試合を冠協賛させていただき、子供たちを中心に毎回2万人を超える方々を無料でご招待しております。おかげさまでご好評をいただき、観客動員数も回を重ねるごとに増えています。プロの試合を生で観戦していただいた方々には、楽しんで、感動していただいた上、会場周りに設置したゲームコーナー、クイズコーナーで遊んいただく。さらに、豪華賞品が当たる空くじなしのスピードくじなども行っています。いろいろな面で喜んでもらうとともに、ヴェルディのファンになってもらえればいいし、またヴェルディを応援することによって、アマチュアスポーツへの理解も広げたいと思っています。
さらに、私どもは勉強だけでなく、情操教育にも力を入れています。勉強だけできても心の豊かでない子供では困る。そこで、心の豊かさを育むためさまざまなツアーを実施しています。ヴェルディのプロ選手・プロコーチにサッカーの指導を受けるサッカー教室などもそうですが、どのツアーも大変な反響をいただいております。同じピッチで練習しているヴェルディの選手に握手してもらったりすると、子供たちは、もう大感激ですよ」
——そのほかには?
「2005年は『東京都選抜少年サッカー大会』を支援させていただいたほか、2006年からは少年野球『リトルシニア関東夏大会』のサポートもさせていただくことになりました。もちろん、こちらもヴェルディをサポートするようになったことがきっかけです。さらに、現在ではヴェルディだけでなく、横浜FCのサポートもさせていただいており、スポーツ支援にドンドン広がりが生まれています。ヴェルディは名門ですし、サッカー界はもちろん、スポーツ界全体に広い人脈も築かれていますので、おかげさまでさまざまな繋がりができてきました」
——なぜ、ヴェルディを選ばれたのですか。
「ヴェルディは名門であり、東京を本拠地としているということも大きな要因でした。そのうえ、しっかりとした下部組織を持っているというのも素晴らしいですよね。ヴェルディを核とすることによって、スポーツ支援や文化支援の輪をどんどん広げて行くことができるでしょうし、また私どもも独自のサービスを提供できる機会が増えるだろうと考えたというわけです」
——ヴェルディをスポンサードすることによって、企業として得たことは?
「“スポーツを応援している企業”というイメージが、定着したと思います。同時に、社員はヴェルディの活躍をすごく楽しみにしていますし、その話題で社内は大いに盛り上がっています。また、Jリーグのヴェルディとお付き合いができ、こんなこともできる、あんなこともできるということで、社内のモチベーションが上がったというのも大きいですね。しかも、“ヴェルディのスポンサーになろう”ということ自体、そもそもは一人の社員が提案したことですから。それが会社全体を動かす結果になり、“それなら、私もこんなことを提案してみようかな”という良い流れができてきたと思います。社員の活性化というか、広がりというか。意識を高める効果がありました」
——社外的にはいかがですか。
「サッカーというのは大変社会性のあるスポーツですから、“ヴェルディのスポンサーをしているんです”という一言で、ご父兄にも私どもが社会性の高い企業であるという認識を持っていただけるんですね。それと同時に、社員のモラルも上がりました」
——ヴェルディに望むことがあれば。
「ヴェルディには、とにかく早くJ1に戻って欲しいですね。それが一番ですね。それと、ヴェルディにはスポンサーをフルに活用してもらって、観客動員、どうしたらお客さんが来てくれ、喜んでくれるのか、うまく連携して行動してもらえればと思います。また、選手の皆さんにももっと積極的にスポンサーに入っていってもらいたいですね」
——Jリーグに対して?
「子供たちが観てみたい、行ってみたいと思う雰囲気を、Jリーグ、ヴェルディ、そして私どもが力を合わせて盛り上げていけたらと思います。子供たちが喜ぶ企画、催しを増やしていただけると、さらに広がりがあるのではないでしょうか。ヴェルディとのお付き合いが始まり、味の素スタジアムでサッカーの試合を見させていただくようになりましたが、うちの子供も一生懸命応援して、感激していました。これまでサッカーに興味のなかった子供でさえ、スタジアムに行けば感激して、選手を覚えて応援するようになるわけです。例えば、小学生は無料にするなどきっかけづくりをしていただければいいと思います」
——最後に選手、チーム、Jリーグ、日本あるいは世界のサッカー界へ向けてメッセージをお願いします。
「J1でもJ2でも、“凄いな! 頑張ってるな”と感動を与える試合をして欲しいですね。一生懸命さでも、泥臭さでも構わないので、そういったものを全面に出して、子供たちに伝えて欲しいと思います。結果的に負けたとしても、凄く頑張っているのは観ている側にも分かる、伝わるじゃないですか。“負けていても、決して最後まで諦めない”とか、常にそういう姿勢を見せていただき、感動与えてもらえれば、スポーツを通して日本中が元気になっていけるのではないでしょうか」
取材・構成/宮崎俊哉・山田美恵(CREW) |