チケットのことならチケットぴあチケットぴあ

こんにちは、ゲストさん。会員登録はこちら

JAPANサッカーを支える企業
 
アディダス・ジャパン株式会社
常に革新的な商品開発で、より良いスポーツ環境の普及に力を注ぎ続けてきたアディダス ジャパン。
日本代表のオフィシャルサプライヤーを務めるなど、“アディダスらしさ”を生かし、幅広い展開を見せるフットボール支援活動について話を伺った。
アディダス・ジャパン株式会社
   

——アディダス ジャパンはスポーツのプロダクトそのものに携わる企業、マルチスポーツブランドとして、どのような企業理念に基づいてスポーツ支援をなさっているのでしょうか?

「まさにスポーツなくしては、我々の企業活動そのものがままならなくなりますから、そういった意味では、いろいろなスポンサーさんがいらっしゃいますが、我々の場合はサポートという部分に関して少し意味合いが変わってくると思います。我々はアディダスジャパンに属していて、グローバルには『アディダス』となりますが、6つの大きなブランドバリューがあり、すべての仕事においてそれらを常に頭に入れて働いています。
●オーセンティック=本物であること
●イノベイティブ=革新的であること
●コミッテッド=真摯に取り組むこと
●パッション=情熱的であること
●インスピレーショナル=創造的であること
●オネスト=誠実であること
 “オーセンティック”というのは、本物であることによって、選手が持っている能力、パワーをより一層引き出す、サポートするということです。
 “イノベイティブ”とは、商品だけでなく、あらゆるものを革新的に追い続けていくこと。
 “コミッテッド”とは、アスリートとスポーツに対するアディダスのコミットメントに関して、揺るぎなく永久的に妥協はしないこと。創始者のアディ・ダスラーと同じ決意を持って、アスリートのスポンサーになっていきます。アディ・ダスラーは我々からすると神様のような存在ですが、彼の理念がもともとお金儲けをベースとしたものではなく、なんとかして選手の力になりたいという強い想いから来ているんです。
 そして“パッション”。スポーツは情熱的なものですから、これなくしては語れないでしょう。
 “インスピレーショナル”というのは、サポートするアスリートとの関係の構築や維持を促そうということ。アスリートやスポーツそのものからインスピレーションを受けて、それを商品開発に反映させる。それがまた、人々に繰り返しインスピレーションを与えるというインスピレーションの連鎖を目指しています。
 そして、最後の“オネスト”。これは、いつの時代もアディダスは本物であり、倫理を保ち、フェアでなければいけないという意味です。
我々はこの6つのコンセプトに基づいて商品開発を行い、社会により良いスポーツ環境を継続して提供していきたいと考えています」


——アディダスとフットボールの関わりを教えてください。

「アディダスとFIFA(国際サッカー連盟)との関係が始まったのは、1954年の『FIFAワールドカップTM』スイス大会、ドイツ代表が優勝した大会からです。大会試合球については、1970年の『FIFAワールドカップTM』メキシコ大会からサプライしています。そして、1994年の『FIFAワールドカップTM』アメリカ大会では、公式マーケティングパートナーとなり、1998年の『FIFAワールドカップTM』フランス大会でアディダスがスポーツ用品メーカーとして初めて公式スポンサーに任命されました」


——日本におけるフットボールへのサポートは?

「アディダス ジャパンは設立してまだ8年ほどの会社ですが、それ以前からアディダスというブランドとしては、日本でも販売させていただいていましたので、日本におけるアディダスの認知度には長い歴史があります。
 その財産を引き継ぎ、1998年の『FIFAワールドカップTM』フランス大会と同じ年にアディダス ジャパンを設立し、正式には1999年から日本サッカー協会と契約を結ばせていただきました。 今後も、でき得る限り継続して協力させていただきたいと思っています」


——日本チームのユニフォームとなると、やはり日本人の体型などに合わせて開発されるのでしょうか?

「もちろんです。体型だけでなく、気候もそうですね。特に2002年日韓共催の『FIFAワールドカップTM』の時は、高温多湿ですから吸汗、速乾に優れた素材のものを気候に合わせて作りました。  タッチ面も非常にソフトで軽量なものを開発しています。100gの重さの変化にも敏感に反応されますので、汗をかいても肌にくっついたり、重くなって動きづらさを感じることがないように、そういった部分に関しては特に注意を払って、日本の選手にとってより快適なように開発しています」


——日本での試合と気候の違うアウェーでの試合では、ユニフォームの素材を変えたりするのでしょうか?

「若干は変えています。ただ、アウェーのドイツで行われる『FIFAワールドカップTM』であっても、ホームのユニフォームを着る場合もありますから。比較するのであれば、韓国・日本で行われた2002年『FIFAワールドカップTM』のときは日本の6月、高温多湿の時期でしたが、それとドイツの6月の気候は違いますから、どこで試合が行われるかということを前提に開発しています。
 さらに言えば、2002年に比べ機能的にもさらに進化していますしね」


——オフィシャルサプライヤーになっているのは、A代表だけでなく……

「全ての代表でオフィシャルサプライヤーになっています。もちろん、女子代表のなでしこジャパンも含めて支援させていただいています」


——2005年11月、日本代表のユニフォームがリニューアルされましたが。

「2年ぶりにリニューアルされました。今のところ、ワールドカップ・イヤーとオリンピック・イヤーの2回、2年に一度リニューアルしています」


——フットボールを中心にスポーツ全般に関して、アディダス ジャパンの支援活動を教えてください。

「フットボールに関していうと、日本代表のほか、J リーグでは横浜F ・マリノス、FC東京、そしてアルビレックス新潟をサポートしてます。どのチームも熱いサポーターに支えられ観客動員数が多いので、支援の甲斐があります。
 また、2006年度から福島“JFA アカデミー福島”が開校しましたが、これは中高一貫のフットボール教室で日本では初めての試みです。日本サッカー協会主導のもと、協会常務理事の田嶋幸三さんがスクールマスターを務めていますが、それを支援しています。
 また、同じ福島にある“Jヴィレッジ”や、東京・渋谷の東急東横店にある“東急フットボールパーク”というフットサル場への支援もしています」


——そうした支援は、協賛という形なんでしょうか?

「協賛というと金銭的な支援という形をお考えになる方が多いかと思うんですが、我々の支援というのは、フットボールに関するノウハウの提供、道具の貸し出しなど、総体的な大きな枠組での支援をさせていただいています」


——“JFA アカデミー福島”は、フットボールを専門に学ぶ学校なんですか?

「そうです。“JFA アカデミー福島”は全寮制で中高一貫のフットボールアカデミーです。
  現在、Jヴィレッジに寮を作っているところで、福島県の広野町・楢葉町・富岡町の三地区の中学校に寮から通い、学校から戻ったらJビレッジでフットボールをします。  
  女子は中学1年生または高校1年生から、男子は中学1年生からとなっています。その開校式が2006年の4月に行われました。ヨーロッパではこうした中高一貫のアカデミーは珍しくありませんが、他の競技も含めて、日本では初めての試みです。
 フランスのアカデミーを参考にしたそうですが、フランスのアカデミーは非常に進んでいて、その結果1998年の『FIFAワールドカップTM』フランス大会でのフランス代表の優勝につながっているんですね。全国から選抜した子供をアカデミーに集めて、未来の代表選手を育成していくという大きい展望を持っているわけです。
 川淵三郎・日本サッカー協会キャプテンが“JFA の約束2050”というミッションの中で、2050年“『FIFAワールドカップTM』を日本で開催し、日本代表チームはその大会で優勝する”という目標を掲げました。これは大変素晴らしいことであると思います。我々は日本サッカー協会の理念に非常に共鳴しまして、支援させていただいてます」


——フットボールを支援するようになって、企業として得られたことは?

「社内的にはモチベーションがアップしました。これは言葉ではなかなか言い表せませんが、やはり支援活動をすることで、社員の間に一体感が生まれたようにも感じます。支援をするということは、競技と密接な連携を持つことですから。
 日本が勝つためのサポートをすることによって、その競技に対する一体感が生まれ、社内のモチベーションが上がるということがあります。
 また、外部に対してはアディダス ジャパンがスポーツ支援をすることによって、我々が本気で、冒頭にもお話した“本物である”という理念に基づいて活動していることを理解していただけるのではないかと思っています。そういう意味で、非常にいいコミュニケーションを築いていると思います」


——スポーツ活動支援として、今後具体的なプランはありますか?

「2002年から早稲田大学とパートナーシップを結ばせていただき、早稲田クラブを支援しておりまして、フットボールだけでなく、ラグビー、さらには今年から野球部のユニフォームも提供しています。
 また、今年から読売ジャイアンツとユニフォーム契約させていただきました。“ジャイアンツアカデミー”という少年少女向けの野球スクールが2006年4月に開校しましたが、そちらへの支援も始めました。
 今後、ベースボールに関しても、さまざまな支援ができればやっていきたいですね。スポーツに携わる人たち、特にお子さんの世代から育成に力を貸していくことで、スポーツにいろいろな形で関与していくことを目指しております」


——日本サッカー界に望まれること、提言がございましたら。

「川淵キャプテンが2050年のミッションを掲げています。我々もそのミッションに賛同していますし、それに沿っていく形でお手伝いしたいですね。
 2050年には、ファンも含めて“サッカーを愛する仲間=サッカーファミリーが1000万人になる”というのは、本当に素晴らしいミッションだと思います。現状では選手や審判といった人たちを含めてサッカー登録人口は約100万人なんですが、それを10倍にするんですから。きちんと目標を立て、2015年のミッションではまずは“サッカーを愛する仲間=サッカーファミリーを500万人”に増やし、そこからさらに裾野を広げて、ヨーロッパに負けない、本当のフットボール社会をきちんと日本に根づかせていく。
 現時点ではヨーロッパに比べると、選手も周りの環境もファンも、まだまだ追いついていないですけど、必ずや実現すると思います」


——企業がフットボールを支援していく上で、サッカー協会とはどのような関係が理想的だと思われますか。

「当然、日本サッカー界の発展につながる関係を創造していきたいと思っています。ビジネスを優先するのではなく、何よりも先に“強くなってもらう”という視点をお互いに理解することが、最終的には我々にもプラスになると思います。A代表に限らず、すべての日本代表を含めて強くなってもらう。それが結果的にビジネスに返ってくると考えています」


——アディダス ジャパンとしては、フットボールに対してどのような想いをお持ちですか?

「先程もお話しましたが、奇しくも設立の年がフランス大会の1998年という縁があります。会社を立ち上げたのは1998年2月19日なんですが、実際にオフィスを開いたのはちょうど6月から。まさに、『FIFAワールドカップTM』開催のタイミングでした。
 初代代表取締役にフランス人のクリストフ・ベズが就任して、彼の自国での『FIFAワールドカップTM』をここ日本で迎えることになった。フットボールとは、非常に縁が深いんですね。そういう縁や繋がりを社員もみな感じていまして、フットボールを軸に社会に貢献していこうという理念は、非常にすんなりと社員に浸透しました。
 日本代表をサポートしていく部分に関しても、社員の誰もが一点の曇りもなく入っていけた。まず心構えの面でいいプレッシャーが出来ていたので、一致協力することができたのではないかと思います。
 アディダスは、『FIFAワールドカップTM』で、選手が最高のパフォーマンスを発揮できるようサポートしていくわけですが、選手の最高のプレイを会場やテレビなどを通じて世界中の方々に見ていただくことによって、フットボールというスポーツを世界中に広めていきたいと思っています。
 フットボールというスポーツの面白さや奥深さを、我々も一緒になって伝えていきたい。そのために、常に革新的な商品を開発していかなければならないと思いますし、また現実的に開発もしてまいりました。そうした意味では、『FIFAワールドカップTM』はアディダスの技術をお披露目する場でもあります。
世界においても、日本にいてもフットボールのリーディングカンパニーであると自負していますし、今後もたゆみない努力をし続けていかなければならないと思います。
 例えばボールひとつを見ても、昔は革製ボールで手縫いだったんです。それが今はサーマルボンディング(熱接合)という技術により、縫い目がない。今回の『FIFAワールドカップTM』ドイツ大会の試合球がそれなんですが、まさに革新的で、雨が降っても重量が変わらないんですね。革製の手縫いだと水を吸いこむと当然重くなりますが、サーマルボンディングなら水を吸いませんから、雨が降った時でも晴れている時と同じような感触で蹴ることができます。
 また、手縫いの場合は糸の部分が固くて、それ以外の部分は柔らかいので、蹴った場所によって軌道が変わってしまいます。ところが縫い目がないので、どこを蹴っても安定していて、同じ軌道を描くことができるということで、選手にとってはコントロールしやすいボールとなったわけです。
 パネルの枚数も、マンガなどによく出てくる白黒のボールは32枚ですが、今回のボールは14枚パネルでできているんです。パネルが少なければ少ないほど、接合部分が少なくてすむのでそれだけ球体に近づける。縫い目がないので、縫い方や蹴る場所によって極端に弾道が変わることがなくなりました。
 1970年の大会試合球から数えると、2006年は10個目、10大会目になりますが、常に革新的な技術を導入してきたわけです」


——最後に、日本のサッカー界に向けて応援メッセージをお願いします。

「これは常にあらゆるスポーツに共通することですが、やはりフットボールも“IMPOSSIBLE IS NOTHING ”(「不可能」なんて、ありえない)、この精神で臨んでいただきたいです。
 必ずや、奇跡は起こると信じています。実際、本当にいろいろな場面で“IMPOSSIBLE IS NOTHING ”が起こっているんですよね。『アジアカップ』でも、『FIFAワールドカップTM』予選でも。ですから、我々は最後の最後まで、日本が優勝すると信じています」


取材・文/宮崎俊哉・松井志麻(CREW) 撮影/新関雅士

 
この取材は2006年4月に行われました