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JAPANサッカーを支える企業
 
株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズ 執行役員専務 放送本部長 田中 晃
J1・J2の全試合生中継を実現し、各クラブのホームタウンで徹底したエリアマーケティングを進めているスカパー。Jリーグブロードキャスティングパートナーとして、スカパーならではのサッカー支援について、話を伺った。
株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズ 執行役員専務 放送本部長 田中 晃
   

——Jリーグ支援を中心に事業目的、社会貢献に関する御社の企業理念からお話しいただけますか。

「Jリーグへの取組みとして社員、経営陣、さらには全国の中継制作者全員が共有している“Jリーグ・マニュアル”というものがありますが、その冒頭で次のような基本方針をあげています。

【1.事業目的】
a. 「Jリーグ」をスカパーのフラッグシップコンテンツとして位置付け、スカパーにしかできない「J1・J2全試合生中継」を実現することで、スカパーの存在理由を示し、ブランド力を高める。
b. 各クラブとの緊密な連携はもとより、地域の電気店・自治体・地元企業・団体とも連携し、ホームタウンでの徹底したエリアマーケティングによる新規顧客の創出を図る。地域でのスカパーファンを増やすことで、Jリーグ以外の視聴を促し、スカパーの多チャンネル文化を促進する。
【2.社会貢献】
Jリーグ「百年構想」を放送企業としてサポートする。各クラブと連携して観客動員アップを図り、クラブとともに地域でのスポーツ文化の発展に貢献することで企業としての社会的役割を果たす。また、放送を通じて、Jリーグ及び日本サッカーのレベル向上に貢献する。

ここで一番大事なことは、“スカパーにしかできないJ1・J2全試合生中継”ということです。地上波さんにはできない。広告放送をやっている放送事業者の選択としては、たくさんの人に見てもらいたい、つまりマスターゲットで放送する試合を選ばなければならないので、一部のチームの試合に偏っていかざるをえないのです。それがマス放送の宿命なのです」


——でも、スカパーならJ1・J2全試合生中継ができると。

「Jリーグのお客様の立場に立つと、例えば愛媛FCのサポーターは浦和レッズvs鹿島アントラーズの試合をやっていても、愛媛FCの試合があればそちらを観たいですよね。これは大分トリニータでもヴァンフォーレ甲府でも同じこと。まず観たいのは“おらがチーム”の試合ということでしょう。でも、それはマスメディアができる役割ではない。そこに、スカパーの役割があるのです。単純に多チャンネルで数が多いというだけでなく、有料放送のスカパーにしかできない役割です。
2008年度、Jリーグでは623 試合行われますが、Jスポーツさんが1節1試合、TBSさんが概ね1節1試合放送されるので、残り551 試合はスカパーが自主制作することになります。では、我々の放送はどれだけの人に観ていただいているのか。例えば、四国ダービー。正直なところ、多くの人に観ていただいている状況にはありません。徳島ヴォルティスのサポーターでスカパーのセットに入っている人、愛媛FCのサポーターで同じくスカパーのセットに入っている人、両方合わせても実は1万人もいない。何千人ですが、そういう試合の積み重ねがスカパーなのです」


——マスとは違う役割ですね。

「それが事業目的の第1番ですが、もう一つスカパーに加入していただくマーケティングについて。これまでは全国一律のコマーシャルを流していたのです。タレントさんを使って、“徹底的にプロ野球”というコマーシャルを流して、電気屋さんで加入してくださいというのが主たるマーケティングでした。しかし、現在は33に増えたJリーグ各クラブのエリアごとに個別のマーケティングをして、お客様を増やしていこうと考えています」


——その方がスカパーに適しているということですか。

「Jリーグは、単純にサッカーのクラブが勝つか負けるかではなく、各エリアのスポーツ文化の中心になっていこうとされています。例えば、地元の子どもたちが集まって練習できる環境を整えたり、シニアの方々がトレーニングして体力をつけられるようにしたり、サッカー以外のいろいろなスポーツもやっておられますし、あるいはもっと広げて文化活動もやっていきましょうと、広い意味でエリアの文化の中心になるという志を持ってがんばっておられます。それは地域貢献、社会貢献という言葉で表現できると思いますが。スカパーはそれぞれのエリアで各クラブが根を張って広げていくときに、一緒にお手伝いさせていただいて、多チャンネル文化を一緒に広げていけないものかと考えた。それが、スカパーがJリーグに取組むに至る事業的な目線から見た目的です」


——その事業目的とともに社会貢献があるわけですね。

「Jリーグの各クラブはエリアで文化を広げていこうということで、実際にいろいろとやられておられます。アルビレックス新潟や湘南ベルマーレなど、本当に頑張っていらっしゃいます。ジェフユナイテッド千葉などは、地元の千葉市と組んでお年寄りの健康増進プログラムまでやっておられます。そういうJリーグの“百年構想”に対して我々は敬意を表していて、企業としてサポートしていければ嬉しいと思っているのです。1番に“地域サポーターのために”、2番に“クラブのために”、3番に“Jリーグのために”、そして4番に“日本のサッカーのために”という順番でやってきて5番目に“スカパーのために”というものです。つまり、地域の人々に愛されないといけない。Jリーグが各地域でスポーツ文化の中心として広がっていくのを地域の人々が応援していくときに、“スカパーも仲間じゃないか”と思っていただかないとお客様は増えていかないと思っています。だからこそ、そういう順番で考えていきましょうということです」


——サッカーという競技、あるいは日本のサッカーに対して、どのようなイメージをお持ちですか。

「単一スポーツとしては、間違いなく世界ナンバー1ですよね。自由で、破壊的で、情熱的で。そのサッカーとスカパーは切っても切り離せない関係にある。そう考えています。スカパーがスタートしてほどなく、セリエAの生中継を始めました。日本にヨーロッパサッカーを楽しむという習慣というか、文化はスカパーが作ったと自負しています。
セリエAに関していえば中田(英寿)選手の移籍後からの放送ですが、中田選手がセリエAから抜けた際は、人気が一時的に下がってしまいました。でも、おもしろいのは中田選手の頃は日本人選手の試合でないとなかなか観てもらえなかったのが、今では日本人選手の試合を観たいというお客様はそれほどいなくて、ACミランとかユベントスとか、世界最高峰の試合を観たいという状況に変わっています。
そして、その延長線上に2002年の日韓ワールドカップがあり、大々的に放送権を獲得して、スカパーが全試合やりますということで加入者の獲得にも寄与しました」


——その後、さらに海外サッカーの中継が充実して。

「UEFAチャンピオンズリーグやプレミアリーグなども放送するようになって、今では海外サッカーを観るということとスカパーに入るということがほとんど同義になっていますよね。そこまで力を入れているので、スカパーとサッカーは切り離せない。サッカーというのは、世界的に見ても、日本でも非常に人気のあるコンテンツであり、その先にワールドカップという頂点がある。スカパーが各国のリーグの放送を行う前までは、なかなか日本での放送は無かったのですけれど、エンターテイメントとしてレベルの高いスポーツだと思います」


——Jリーグについては?

「その一方で、Jリーグの取組みとしては、いろいろやってきたけれどなかなか全試合生中継とまではいかなかった。でも、スカパーとしての役割、スカパーは何を果たせるのかと考えた場合、Jリーグをきっちりやって、その放送の成果として日本のサッカーのレベルを上げる、サッカーを観る視聴者のレベルを上げることだろうと。日本のサッカーを強くすることに貢献していきたいとなったわけです。これだけセリエAを放送してきても、イタリアサッカー協会から感謝されることはありませんからね」


——ドイツワールドカップで優勝しても?

「“スカパーのお陰でした”なんて言われませんから。当たり前ですけど、悲しいじゃないですか。だから、やっぱり国内のスポーツをサポートして、レベルアップに幾許なりとも貢献したいと思った次第です。我々のゴールってどこにあるかというと、日本代表がワールドカップで大活躍する、それが優勝なのか、ベスト4なのかはともかく、何年先かわかりませんけど、その時にスカパーのJリーグへの取組みも少しはそれに貢献したなとなれば、それがゴールですよ」


——サッカーを支援されるようになったきっかけは?

「単純にサッカーの好きな人間が社内にいたのです」


——海外サッカーも含めて?

「もちろん。不思議なことですけど、当時セリエAの試合はイタリア国内より日本の方が多く観ることができました。一方で、例えばベッカムがスペインに移籍したからと言って、イギリスの放送局がプレミアリーグを放送しないでスペインリーグを放送するなんてことないじゃないですか。放送する側の役割の一つとして、そのスポーツを育てていくことは重要なポイントです。我々がその成果を見られる、実感できるものとなれば、プレミアリーグでもないし、セリエAでもないし、リーガ・エスパニョーラでもない。Jリーグですよね」


——Jリーグを支援されるようになって企業として得たこと。社内的にはいかがですか?

「たくさんあると思いますが、社内の一体感がより一層強くなりました。コンテンツで一つにまとまるというのは、多チャンネルがゆえになかなかできないのですが、それができてきましたね。Jリーグに対して会社全体で取組んでいます。それだけのやりがいがあると、みんなが実感するからでしょうが。実際、あるスポーツ団体とこんなに密接に繋がるということはないわけですよ。各クラブとの密接感と言いますか。それは楽しいですし、企業としての財産、プライドだと思います。加入者の数と収益では計れない、我々にしかできないというプライドです」


——社外的には?

「社会からスカパーが必要と認識される材料になっていますよね。少なくとも、我々はそう信じてやっています。地域の生活の中で多チャンネル文化を広げていくとき、スカパーが地域の生活者にとって必要なものでありたい。地上波が当たり前のように必要であるように、テレビのエンターテイメントにとって、スカパーはなくてはならないと思われたいですし、サッカーはそのための重要なコンテンツです」


——これからの取組み、予定されていることは?

「いっぱいありますけど、隠し玉ということで…」


——Jリーグに望まれること、提言などありましたら。

「チャレンジしていた頃のJリーグは、すごく輝いていたと思います。毎年のように、何か変わっていって。チームの数を増やしていこうというのもチャレンジですけど、お客様を増やすにはお金を払って観るにふさわしい試合がないといけない。最大の商品というのは、試合以外ありえないですよ。まずは試合内容。もっともっと新しいことにチャレンジして、レベルをあげて、それを知らしめる。そのためにはどんなことでもサポートさせていただきます」


——クラブについては?

「我々がなぜクラブといい形でやらせていただいているか。それは各クラブと目標を共有してやっているからなのです。スカパーとしては2006年度の観客動員数を世帯換算した数値の40パーセントを加入させることを数値目標として掲げました。その時、5年後の観客動員数がそのままでは我々の事業は成立しません。ですから、我々もできうる限りサポートしますので、いっしょになってがんばっていただいて、観客動員数を20パーセントアップにしましょうと。そして、そのアップした120パーセントの観客の40パーセントを5年間でとれれば成功となるのです。そのあと、Jリーグからは、観客動員数30パーセントアップという数値が出ましたが。実際、1年経ったところでは3パーセントアップという結果となっています。このまま成長していけば5年後の120 パーセントという目標は不可能な数字ではありません。複利計算でね。スカパーとしても、5パーセントずつ上乗せいていけば、40パーセントという目標をクリアできるのですよ。お客様がスタジアムに足を運びたいと思うぐらいいい試合をしていかなければ、スカパーに入ってみようなんてお客様も増えることはないですよね。クラブと我々は、お互いに共通の目的に向かって進んでいます。
去年のキャッチコピーは“ホームはスタジアムで、アウェイはスカパーで”でしたが、今年からはもう少し明確にして、“アウェイはスカパーで行こう”というキャッチコピーとしました。サポーターにとってスカパーは応援ツール。右手にフラッグ、左手にスカパーのリモコン持ってくださいということです」


——最後にファンへ、熱きメッセージをお願いします。

「サッカーファンのサッカーを観る目線は間違いなく上がっています。でも、これからももっともっと上がらないと日本のサッカーは強くならないと思います。私がまだまだ発展途上だなと思うのは、昨年FCWCで浦和レッズはACミランと戦って敗れましたが、多くのファンはよくがんばったと拍手しましたよね。悔しがることなく。あんなに簡単にカカに抜かれたDF(ディフェンダー)がいたら、南米であれば相当に叩かれて大変な騒ぎになっていたはずです。観る側がそのレベルになったら、日本のサッカーも強くなると思うんですが。いくらACミランが相手だって負けたら本気で悔しいというところまでいかないと日本のレベルは上がらない。問題は観る側にもあるわけです。
Jリーグを応援するということは、その先に何があるかというと日本のサッカーが世界で輝くことですが、それはJリーグのレベルが上がらなければ絶対にありえない。では、Jリーグを強くするためにはどうしたらいいか。それは、Jリーグにお客様が来るようにすること。それ以外、ありえません。今メディアでは日本代表ばかりが取り上げられていますが、サッカーに係わる全ての人、放送する側も、報道する側も、間に入る代理店も、もちろんファンも、日本サッカーのベースとなるJリーグを支えていくために同じ志を持ってがんばっていけたらと願っています」


取材・構成:宮崎俊哉(CREW) 撮影:清田征剛

 

【企業概要】
株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズ

事業内容:110度衛星デジタル放送の「e2 by スカパー」、光ファイバーを使った「スカパー光」等を展開、約290チャンネル衛星デジタル放送の「スカバー」及び、デジタル多チャンネル放送の市場拡大を牽引している。
設立:1994年11月
本社所在地:東京都港区赤坂
URL:http://www.skyperfectv.co.jp/
 

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地域に根付いたサッカー文化を目指し、スカパーは地元クラブ、地元企業と一体となり、各地でパブリックビューイング(PV)を開催しています。PVでJリーグ、スカパーを体験してもらうことにより、地元クラブのサポーターが増え、そしてそのクラブをスカパーの放送で応援していただくための活動です。写真はコンサドーレ札幌、サッポロビール株式会社、スカパー共催の昨シーズンのベガルタ仙台vsコンサドーレ札幌戦のPVの様子です。会場の札幌大通り公園には約3,000名が来場し、大いに盛り上がりました。
 
この取材は2008年2月に行われました