——スポーツ支援を中心に、御社の企業活動からお話しいただけますか?
「私どもファミリーマートでは、『あなたと、コンビに、ファミリーマート』というスローガンを掲げ、『お客様にどこよりも“親しみ”を感じていただける存在になるために、“ホスピタリティ”あふれる行動を通して、“気軽にこころの豊かさ”を提供する、お客様にとっての“コンビに”になることを約束します』という活動を展開しています。
その活動の一環として、スポーツ支援に関しては、サッカーを中心とした協賛活動を展開中です。チェーン全体では、サッカー日本代表のサポーティングカンパニーを、地域についてはJリーグクラブ、プロ野球チームのスポンサードを実施しておりますが、このような活動を通じてファンやサポーターの方に“こころの豊かさ”を提供し、ファミリーマートに“親しみ”を感じていただければと考えています」
——サッカーという競技に対しては、どのようなイメージをお持ちですか?
「サッカーは、性別や世代を問わず盛り上がることができるスポーツだと考えています。サッカー日本代表ほど日本中の注目を集めて、熱狂的に応援できるものは他にありませんので。
Jリーグがスタートしたときから今のサッカーの歴史が始まっていると考えると、他のスポーツと比べ、スポンサーとの関係、地元や地域との関わり方など全く違いますね。
地道に地元を見つめているし、『Jリーグ百年構想』も含めて、理念がわかりやすいので担ぎやすい。我々も、サッカーを応援するという役割を一緒に担えればと思っています。“サッカーといえばファミリーマート”と言われるようになれば本望ですね」
——サッカー日本代表サポーティングカンパニーになられたきっかけは?
「2001年4月、日本代表サポーティングカンパニーの契約をしたことが、本格的なサッカー応援活動の始まりです。『FIFAワールドカップTM』日韓大会を翌年に控え、ファミリーマートの社員、加盟店がお客様と一緒になって、さらにサッカー日本代表を盛り上げ、支援していこうという目的で始めました。
今ではファミリーマートのフラッグシップとして、サッカー日本代表のサポーティングカンパニーであることが、社員、加盟店、取引先、お客様に認知されてきたのではないかと思っています」
——御社がスポーツ支援活動を始めることで、社内的に影響はありましたか?
「はい。サッカーはファン層が非常に幅広いですよね。お年を召した方から小さなお子さんまで。みんなが国の旗を振って応援するというスタイルも、もうだいぶ浸透してきました。そういう部分で一緒に日本代表に旗振りできるというのは、私どもの一店舗、一店舗にとって、非常にいいモチベーションになっていると思います。
ファミリーマートでは、私どものスーパーバイザーが毎日各店舗に行ってお店の指導やカウンセリングをしているんですが、そういう時にも共通の話題が持てるというのは非常に仕事の上でもプラスになりますね。“日本代表、昨日どうだった?”という感じで。我々も日本代表という大きな神輿を、お客様と一緒に担いでいくことができるわけです」
——Jリーグクラブのスポンサーになられたきっかけは?
「あくまでもサッカー日本代表のサポーティングカンパニーとしての活動が中心ですが、Jリーグについても、2003年に最初は6チームから始まりまして、現在14チームのクラブスポンサーをしております。
北はベガルタ仙台から浦和レッズ、横浜F ・マリノス、南はアビパ福岡まで。こちらは地域のお客様とのコミュニケーション活動につながればという想いで、2003年から継続して実施しております」
——ファミリーマートの地域密着型の姿勢と繋がっているのでしょうか?
「その部分が大きいですね。地域によっては、プロ野球チームを応援している地域もあります。地域の人たちと一緒に“応援しよう”という気持ちを共有できるものを、支援させていただいています。それが、Jリーグではたまたま14チームだったというわけです。地域内にそうしたスポーツチームがなければ、その地域の大きなお祭りを一緒に応援することもあります。
どこかでお客様に共感してもらい、それを面白く、楽しく一緒に分かち合えれば一番いいのではないかと。それを実践していく中で、結果的にJリーグの14チームを応援することになったわけです」
——日本サッカー協会とともに、これまでなさってきたことは?
「これはひとつの事例ですが昨年6月、『FIFAワールドカップTM』ドイツ大会アジア最終予選に合わせてファミリーマート各店で応援メッセージを募集いたしました。名刺サイズのカードにお客様から日本代表に対するメッセージを書いていただき、そのメッセージカードを貼り合わせて巨大なボールを作成しました。それをアジア最終予選第6戦の会場、日産スタジアムに展示してお披露目しました。
また、横浜の赤レンガ倉庫で実施中の『SAMURAI BLUE PARK』でも展示しておりますので、『Weeklyぴあ』の読者の皆さんもぜひ見に来てください」
——日本代表サポーティングカンパニー、Jリーグクラブのスポンサーであるからこそできること、していきたいことは?
「サッカーはみんなに喜びや感動、勇気を与えてくれるものです。日本代表のサポーティングカンパニーとなったり、Jリーグクラブをスポンサードしたりすることでその喜び、感動、勇気を提供するお手伝いができればと思っています。
ファミリーマートは、全国に約6,700の店舗があります。そのファミリーマート各店でキャンペーンや商品展開することによって、サッカー日本代表では全国のファミリ−マートが、Jリーグクラブではその地域のファミリーマートが応援拠点になるようにしていきたいと考えています」
——サッカーを支援するようになって、企業として得たこと。まず、社内的にはいかがでしょうか?
「私どもの加盟店も含め、2001年からの5年間における活動の結果、日本代表のサポーティングカンパニーであるということが、チェ−ンとしてフラッグシップ的な意味合いを持つまでになりました。社員、加盟店、全員がサポーティングカンパニーであることに誇りを持っています。サッカー日本代表のサポーティングカンパニーになったときに、現場の人間の声としては“良かった”という声が非常に多かったです。それが、組織として非常に活力になるんですよね。
また、サッカーを通じてお客様と会話ができる。共有できる話題を持っていることは、非常に貴重だと思うんです。サッカーは単なる協賛対象ではなく、一緒に感情移入できるスポーツです。特に、2002年の『FIFAワールドカップTM』日韓大会は地元開催でしたし。日本代表のユニフォームも店頭で販売させていただきましたし、試合の時は制服代わりに日本代表のユニフォームを着ていました。店頭の販売員だけではなく、物流のドライバーも皆ユニフォームを着ました。本当に会社として盛り上げて応援できました。サッカーは当事者に近い形で応援できるスポーツであると感じています。
今度の『FIFAワールドカップTM』ドイツ大会期間中は、ファミリーマートで一番使われる頻度の高いサイズのビニール袋を、『SAMURAI BLUE』のデザインでブルーにします。私どものお店で買い物をして、買い物袋がブルーになっていれば、気持ちも盛り上がる。
小さなお手伝いですけど、お客様が“ああ、あのブルーの袋だ”という気持ちになっていただければ、それが結果的には商売に繋がっていくでしょうし。お客様が見て、感じて、楽しんでいただけることを、どんどん考えてやっていきたいですね」
——外部、お客様や取引先への影響は?
「ファミリーマートのブランドイメージアップに貢献しています。
また、取引先にもファミリーマートのサッカー応援活動は認知されています。とりわけオフィシャルスポンサーであるキリンビールさんやオフィシャルサプライヤーであるアディダスさんとは、オリジナル商品の開発やキャンペーンの展開などで共同取組みを実施し、良好なパートナーシップを築いております」
——『FIFAワールドカップTM』ドイツ大会までに企画されていること、取り組みなど教えてください。
「日本サッカー協会が推進する『SAMURAI BLUE 2006』に賛同し、ファミリーマートの『SAMURAI BLUE』化計画を実施中です。先月(2006年4月25日〜5月8日)までは、『日本代表に、熱きエールを』キャンペーンを実施いたしました。現在も『SAMURAI BLUEフラッグ』を店舗に掲出しております。また、本社ビル1Fを『SAMURAI BLUE 2006』をテーマに演出しました。このようにファミリーマート全体で『FIFAワールドカップTM』に出場する日本代表を応援して参ります。
あと、これは宣伝になりますが、今ファミリーマートでしか手に入らないFIFAオフィシャルライセンス商品を全店で販売中です。今回の『FIFAワールドカップ』は日本ではなく、遠く離れたドイツで開催ですが、近くのファミリーマートで手に入るということで、ドイツでの大会を身近に感じていただければと思います。
さらに、日本代表レプリカジャージを中心に日本代表グッズも発売しています。試合前にファミリーマートで応援グッズを買って、テレビやパブリックビューイングの会場で日本代表を応援してください。
余談ですが、あるファミリーマートで、日本代表のユニフォームを見つめてジッと悩んでいる年配の方がいたんです。ファミリーマートだからこそ手にしたんでしょうけど、多分ファミリーマートにそういうものがなかったら、ずっと手にする機会はなかったかもしれません。その人が買う、買わないは別にして、身近なところにサッカーを感じてもらえる接点を提供する、我々ができることは、まだまだたくさんあるんだなと感じましたね。
地方の町に行きますと、近くにサッカー専門店がないところもありますしね。周りの人たちと一緒に応援できるのは、非常におもしろい。ですから、ずっとサッカーを応援していきたいですね」
——いよいよ『FIFAワールドカップTM』開幕が迫ってきましたが、日本代表、日本のサッカー界へ向けて熱き応援メッセージをお願いします。
「できれば、応援する側が疲れてしまうぐらいの、しびれるゲームをしていただければ、こちらとしてもやり甲斐があります。選手の皆さんには、日本中を感動の渦に巻き込むような熱い試合を期待しております。そして、前回大会のベスト16以上の結果が残せることをお祈りしております。がんばってください」
取材・構成/宮崎俊哉・松井志麻(CREW) |